眠り姫に恋したのは年下御曹司
悩んでいた自分がバカみたいだ。


何もなかったかのような陽平に大きな溜め息を吐いた。



「俺の実家に行くから。」


「嫌。」


「拒否権なし。俺の頬を思いっきり殴った莉乃には。」



あっ、そういえば殴ってた。


ちらりと頬を見れば、少し赤くなっている。


ヤバイ。



「あっ、ごめん。」


「でも嫉妬してくれたんだろ。俺は嬉しいけど。」


「嫉妬じゃなくて、騙された事が許せなかっただけ。」


「俺、寂しかったから。」



陽平が足を止めたので、私も足を止めて顔を見上げた。


寂しそうな顔を向ける陽平を見つめた。



「莉乃、全然『会いたい』って言ってくれないし、『寂しい』って言ってくれないし。」


「それは陽平は仕事で。」


「仕事でも言って欲しい。俺なんて側に居なくても平気って言われてるみたいだ。」


「言えないよ、重荷には…………。」


「別に言われてもきっと会えないよ?でも言ってくれるだけで癒されるもんだ。」
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