眠り姫に恋したのは年下御曹司
本当にマイペースというか…………ポジティブ思考だ。


私があんなに悩んでた日々も悠々と過ごしていたに違いない。


なんか腹が立ってきた。



「本当に帰る。」



陽平と繋がれた手を振り払い、駅への道を早足で急いで歩く。


手を上げていた陽平が慌てて追いかけて来る足音が聞こえる。



「莉乃!」


「大きな声で話し掛けないで。恥ずかしいでしょ。」



前を向いて黙々と駅への道を歩くが、肩を掴まれてあっさりと足が止まってしまった。


振り返り陽平を睨む。


訳の分からない陽平が眉間に皺を寄せて見下ろしてくる。


その目を真っ直ぐに見つめた。



「陽平はいつでも自信満々よね。」


「はっ?」


「いつもいつもポジティブに考えて。私がどんだけ不安に思っていたかなんて関係ないでしょ。」


「…………。」


「陽平と出逢ってから毎日のように一緒にいた。朝の通勤では毎日顔を合わせて…………それが当たり前になってた。」
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