眠り姫に恋したのは年下御曹司
そういえば奥様だけしか見えなかったような。


「社長は?」


「親父だろ。」


「あっ、うん。」



つい社長って言ってしまう。



「書斎だろ。今は新入社員の受け入れ作業で忙しいから。」


「あっ、そうなんだ。」


「因みに俺も。莉乃の誕生日に合わせて休み取りたいから必死に終わらせてきた。」


「あっ、そうなんだ。」



陽平が忙しいのは私の誕生日を祝いたいから?


そんな事は考えてもいなかった。


陽平の部屋のソファに腰掛けて、部屋でスーツを脱ぎ出す陽平を目で追い掛ける。



「風呂に入るけど、莉乃は?」


「いい。陽平は入ってきて。私は明日部屋で…………。」


「明日から別荘に行くから。入った方が良くない?」



陽平の言葉に動きを止めて考え込む。


待て待て。


別荘に行く?


着替えは?何もない。



「一回家に帰る。」


「無理。帰さないって言っただろ。莉乃も頷いた訳だし。」



いや、そこで帰らないを使うのか?
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