眠り姫に恋したのは年下御曹司
大きな溜め息を吐いた池田さんを見た。


美味しそうに頬張っていた海鮮丼から手を放して、じっと見つめられていた。



「若く見えたいの。彼はまだ24だし。」


「池田さんだって26でしょ。若いよ。」


「彼の横で並んで歩いてオバサンには見られたくないんです。」



オバサン?


私なんて30だよ。



「池田さん、私に言ってる?」


「片桐さんは元が美人だから。努力なんていらないでしょ。」


「美人ではない。」


「片桐さんは双葉さんと並んでも見劣りしてませんよ。」


「それはない。」



全否定だ。


確かに努力ってほどの努力なんてしてない。


池田さんみたいに朝早めに起きて女子力を上げて出勤はしてないかもしれない。


陽平と出逢った頃から今の私だから。



「そっか。池田さんは山中と出逢った頃から女子力の高い女性だったんだ。」


「今更手抜きなんて出来ないです。」


「そっか。山中が好きなんだ。」



池田さんは山中に嫌われたくない努力をしているだけなんだ。
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