眠り姫に恋したのは年下御曹司
エレベーターが到着した音に、私も陽平と乗り込んだ。


陽平は会議に来たのだろう。


他にも数人のフタバ食品の社員がいる。



「双葉部長と片桐さんって?」


「想像通りだ。」


「そうなんですか。」



エレベーターみたいな狭い空間でする話題ではないだろう。


他の人にも聞こえてない?



「今日は会議ですか?」


「昨日、莉乃には言ってあるだろ。」


「…………。」



話題を変えようとしたが失敗した。


ってか、そういう切り返しは止めて。


ここは私の働く会社なんだけど。


噂になったらどうするつもり?



「双葉部長、仲が良いんですね。」


「金田部長、同棲とかどう思います?」


「…………。」



ここで聞くな。


ちょうどエレベーターが到着した。


ホッと息を吐いた。


同じフロアで降りる彼らを見送る。



「莉乃、話がある。」


「わかった。帰ったら連絡してくれる?」


「行くから。」



恥ずかしい。


フタバ食品の社員にも、近くにいた社員にも丸聞こえだ。
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