眠り姫に恋したのは年下御曹司
陽平達は新たな企画でウチの会社に来たのは明確だ。


今進行中のプロジェクトは陽平の手を離れている。


彼らの背中を見送り、自分の席へ戻っていく。



「双葉さん、来てるんですね。」


「みたいね。」


「さっき女子社員が噂してました。」


「山中も噂にして欲しいなら言って。」


「彼女が怒りますって。」



私が席に座るなり山中に話し掛けられた。



「因みに噂は『片桐さんの彼氏らしいよ』って事みたいです。」


「嘘でしょ。」


「本当です。」



やっぱり聞かれていたらしい。


エレベーターの中で話せば、聞かれるのも当たり前だよね。


その内に噂なんて消えるだろう。



「莉乃。」



またしても声を掛けられた。


何処かに歩いていった大樹が私の席にやって来た。


振り返って見上げた。



「小川、何?」


「総務で書類貰ったんだけど、記入の仕方って合ってる?」


「…………同じでしょ。」



何を言ってるんだ。
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