眠り姫に恋したのは年下御曹司
池田さんだ。


彼女は私と小川の関係を知っている一人だ。



「片桐さん、ランチは一緒に。」


「うん。」



池田さんの勘は鋭い。


大樹に誘われる前に誘ってくれた。


まあ誘われるかは分からないが。



「小川、何を教えて欲しいの?」


「言っただろ、諸々の申請書の書き方。後は泊まるホテル。」


「取ってないの?」


「来てからでも間に合うかと思って。何処がおススメ?妙林辺り?」



妙林とは私の住む駅だ。


何度も訪れている大樹がニヤリとするのが目に入る。



「まだ住んでるの?」


「住んでるよ。」


「ふ〜ん。」



大樹と総務課で手続きをする。


2週間の滞在予定らしく、ホテルも総務の方に近場を頼んでいた。


ってか、自分でやってるから私は必要なくない?



「小川、総務の方に聞いて。私は戻るよ。」


「話は終わってない。」


「はっ?」


「ちょっと待ってて。」


「無理。話はない。」


総務の方に会釈して、その場を立ち去ろうとした。
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