眠り姫に恋したのは年下御曹司
「お疲れ、莉乃も帰り?」


「うん、小川も?」



隣に並んだ大樹と冷静を装って会話をする。


本当はあまり顔を合わせたくない。


だが他の社員も乗っているエレベーターでは私も普通に対応する。



「まだ早いし、夜ご飯なんてどう?俺、一人だし。」


「ごめん、今日は先約。」


「ふ〜ん、明日は?」


「明日は早いか分からないから。」



差し障りない回答をしていく。


本当は暇だが、絶対に二人で食事とかない。


エレベーターが到着すると流れるように外に出ていく。


私も駅までの道を帰っていくが、隣には大樹が並んで歩いている。



「莉乃、時間を作って。」


「金曜に同期と飲むでしょ。」


「あっ、店とか相談しない?どこら辺にする?」


「私が予約するからいい。もう8年も通ってますから。」


「歳を取ったよな、俺たち。」



大樹に歳のコトを言われると腹が立つ。


きっと大樹と別れた原因が若い彼女に乗り換えられたせいだろう。
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