眠り姫に恋したのは年下御曹司

対峙

あっと言う間に金曜が訪れていた。


陽平も一段落しているのか、毎朝、いや毎晩のように一緒に過ごしている。


付き合い始めた頃が蘇る。


最近は陽平が忙しくて一緒にいる時間が減っていた分、一緒に過ごせる時間が幸せだ。



「莉乃、眠い?」


「ちょっとだけ。」


「凭れていいよ。」



優しい陽平の声が聞こえる。



「ごめん、無理させた。」


「…………。」



耳元で囁かれたが、誰にも聞かれてない事を祈る。


昨日の陽平は…………。


思い出しただけで頬が染まる。


電車で考えるのは止めておこう。



「莉乃、迎えに行くから店で待ってて。」


「うん。」


「飲み過ぎ注意。」


「大丈夫。」



揺れる気持ち良さに眠気が襲う。



「やっぱり眠るんだ。」


「ごめん。」



遠くでアナウンスが聞こえる。


徐々に意識が遠のいていく。



「ふふっ、いつもの寝顔だ。」



嬉しそうな陽平の声が微かに聞こえてきていた。
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