眠り姫に恋したのは年下御曹司
固まる私に陽平の声が届く。


「莉乃、帰れる?」


「あっ、ごめん。先に帰ってて?」



私と陽平が話していれば、周りに野次馬のような同期が集まり始めた。



「片桐の彼氏?」


「カッコいい。嘘、紹介してよ。」


「片桐、どうする?飲みに行く?」



同期も興味津々、かつ困惑気味だ。


陽平も友達なのか会社の人なのか飲みに来ているらしく、対峙するように私の同期と陽平の知り合いが立ち並んだ。



「陽平の彼女?実物も美人だ。」


「年上の女もいいな。」



陽平の友達らしい。


それもかなり親しい関係のようだ。



「莉乃、帰れる?」


「だから先に…………。」

「悪いけど、莉乃は同期と飲むから。」



私の会話に割ってきたのは大樹だ。


陽平と私の間に立ち塞がる大樹を見上げる。



「俺たち、久しぶりに会ったから。」


「…………。」



シーンと静まり返る場に私は大樹から陽平に視線を動かす。
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