眠り姫に恋したのは年下御曹司
陽平の雰囲気が変わる。


無表情で大樹を真っ直ぐに見つめていた。



「たとえ彼氏でも、久しぶりに会う俺たちの飲み会に口を出す権利はないと思うけど?」


「…………。」


「それとも束縛?」


「…………。」


「莉乃、二次会に行くだろ?」



私に背を向け、陽平を見つめた状態で大樹が私に話し掛ける。


二人を取り巻く空気が重い。


野次馬の同期も、陽平の友達も誰も口を開かない、いや開けない雰囲気だ。


陽平も無表情のまま大樹を見ている。



「ちょっと莉乃。」



雰囲気を察知した川井が私の腕を掴む。


川井の言葉に、同期が大樹の肩を掴んで宥め始めた。



「小川、どうしたんだ。お前ら、終わってんだろ?」


「…………俺は…………。」



大樹が何かを言おうとしている。


嫌な予感に私は大樹を止める。



「大樹、ごめん、今日は帰るよ。」


「莉乃?」


「皆んなもゴメンね。川井、一人でいい?」


「案外子供だな。」



大樹から吐き出された言葉に場が凍りつく。
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