眠り姫に恋したのは年下御曹司
なぜか嬉しそうに私を見つめている陽平が目に映る。



「俺の彼女だから。タイキさんだっけ?二度と手には入れられないよ、俺は離さないから。」


「…………。」


「ちょっ、ちょっと片桐、凄い告白なんだけど。」


「陽平、言うな。」



野次馬が騒ぎ出す。


川井は私の腕をブンブンと振って悶えているようだ。


陽平は陽平で友達に揶揄われ始めた。



「公衆の面前でよく言えるな。陽平、そんなキャラじゃないだろ。」


「莉乃だけには言わないと伝わらないから。」



騒ぐ陽平から目の前に立つ大樹を見上げる。


唇を噛み締めて、今にも泣きそうな表情をした大樹が立っていた。



「ごめん、大樹。」


「いや。自業自得だな、俺の。」



顔を背けて空を見上げる大樹がいた。


目を閉じて耐えているのだろう。


でも同情はしない。


あの頃には戻れないのは事実だ。
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