眠り姫に恋したのは年下御曹司
私は双葉さんから窓の外に視線を向けた。


流れるネオンを見つめる。



「片桐さんは?」


「30。」


「俺より上なんだ。」


「そうみたい。」



ちょっと驚いた感じの双葉さんの声に笑ってしまう。


若い子と勘違いしてたのか?



「飲みに行くの止める?」


「何でです?」


「口説くなら若い子にすれば?」


「俺は片桐さんと飲みたいから誘ったんだ。なんか年下だと馬鹿にしてます?」


「別に。」


「なら飲みに行きましょう。」


「いいよ。」



少し不機嫌な声が聞こえてきた。


私は揺れるタクシーに目を閉じていく。


眠気に襲われそうだ。



「もう少しですよ、片桐さん。」


「大丈夫。起きてるよ。」


「いつも寝てますよね。」



そんな双葉さんの言葉を最後に意識が遠のいていく。


暖房の効いたタクシーに私は眠りに落ちていた。


包み込むような温もりを感じた気がしていた。
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