眠り姫に恋したのは年下御曹司
陽平がTシャツとスウェットのズボンを私へと渡した。


陽平の視線が私の胸元へと動く。



「俺、御曹司だよ?」


「そう。」



陽平の手から服を奪い、身に纏って行く。



「俺の女って事でいい?」


「ダメ。」


「何で?御曹司とか興味ない?」



服を着た私は陽平に向き直った。


背の高い陽平を見上げる。



「取引先の上司とは付き合えない。」


「何で?」


「それに私は遊びで付き合わない。」


「遊び?」



陽平が声のトーンが低くなった。


明らかに不機嫌な顔を向けてきた。



「出逢ったばかりの私に『付き合おう』って言える時点で遊びでしょ。」


「出逢ったばかりじゃない。毎日、通勤電車で会ってる。」


「それだけで彼女にする?それに私は年上だし若くない。」


「2つ違いだけだ。別に気にする差じゃない。」


「兎に角、彼女なんて無理。帰る。」



扉に近づいていこうと陽平の隣を横切ろうとした。
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