眠り姫に恋したのは年下御曹司
跡取り息子の彼女なのに、凄く優しい雰囲気を醸し出している。


社長の奥様なのに気さくな方だ。



「夜も食べて行くでしょ?」


「いえ、申し訳ないです。」


「遠慮しないで。」


「食べていけば?何なら泊まる?」



奥様との会話に陽平が口を挟んできた。


それも泊まる?


ないない。



「どっちにしても送るし。」


「夜ご飯も食べていって?ほら、主人も帰ってくるだろうし。」


「いえ、本当に申し訳ないです。」



やんわりと断るが陽平も退こうとしない。



「あんまり遠慮すると、お袋が寂しがると思うけど?」


「…………では遠慮なく。」



こう答えるしかないだろう。


ちらりと陽平を見れば、ニヤリと笑って私を見ている姿が目に入る。


本当に交渉が上手い。


さすがはフタバ食品の御曹司だ。


この辺りが話術に長けていると感じさせられる。
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