眠り姫に恋したのは年下御曹司

「山中って？」


「二年目の同僚。私が教えてるの。」


「ふ〜ん。」


「こんな場所に来るんだ。生意気だな、山中も。」




クスリと笑えば、陽平の手が頬に触れて驚いた。


視線を陽平へと向ければ、じっと私を見つめる目と合う。



「楽しそうだね、彼も会えて。」


「えっ？楽しそうではないけど、驚いてはいるよ。」


「仲も良さそう。」


「いつも隣にいるから。陽平にもいるでしょ？そんな同僚ぐらい。」


「いたら嫉妬してくれる？」


「はっ？」



陽平の目が笑っていない。



「莉乃は俺の女だよね？」


「えっ？うん、そうだよ。」


「彼は同僚？俺の方が莉乃には近い存在？」


「…………そうかな。」



あまりに真剣な表情をしている陽平に冗談なんて言える雰囲気でも笑える雰囲気でもない。


ここは陽平に頷いて置くべきだと判断した。



「そう。ならいい。」



陽平の手が離れていく。


さっき見せた陽平の表情がとても怖く感じた。