眠り姫に恋したのは年下御曹司
陽平と出逢って、つまり付き合って1ヶ月が経つ頃にはクリスマスが来る。


そして年末年始に実家へ帰る私を陽平は引き止めていたが、『来年は一緒にいる』と確信のない言葉で宥めた。


彼氏と過ごすクリスマス。


でも実際は会社もあるし、夜ご飯を食べて帰宅するような感じだった。


それは陽平も次の日朝一で会議だからと納得していた。


だから年末年始は一緒に過ごしたかったのかもしれない。



「陽平、お土産を買ってくるから。」


「…………。帰りも迎えに来る。」


「うん。陽平、いつもありがとう。」


「来年は一緒に。」


「ふふっ、うん。」



新幹線のホームで別れるカップルを何度か見てきたが、今、自分がその立場になっていた。


陽平の手が私の手を離さない。


陽平の目が私から逸らされない。



「莉乃、待ってる。」


「うん、電話するね。」


「うん。」



陽平の手が離れて新幹線に乗る。


寂しさが溢れる。


いつからだろう。


こんなに陽平と離れる事がツライと思うようになるなんて。


こんなに陽平に依存するなんて。


私は久しぶりに実家に帰った。
< 60 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop