眠り姫に恋したのは年下御曹司
新幹線で上京する日、陽平からはメッセージが何件も入ってきていた。


待ち遠しいのは私も同じだ。


こんなに陽平に会いたくなるなんて思いもしなかった。


きっと陽平が隣にいるのが当たり前なんだ。


いつもは寝てしまう新幹線でも眠れない。


会いたい…………。



『ホームに到着』


『早くない?』


『早くない。もうすぐ会えるね』



陽平のメッセージに口元が自然と緩む。


ヤバイ。


30にもなって恋愛にハマってる。



『おっ、アナウンス』


『私も会いたい』



今まで伝えたことのない言葉。


返事がない。


ちょっとショックだ。


携帯を鞄に片付けて到着を待った。


やっぱり書かきゃ良かった。


そんな後悔も押し寄せた。



「まもなく到着します。」



車内アナウンスに混雑する新幹線が一段と騒めきだす。


私も気持ちを入れ替えて到着した新幹線から降りた。
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