眠り姫に恋したのは年下御曹司
だからどんなに忙しくても大丈夫だって。


お互いの気持ちは分かり合えていると。


この先、忙しさに会えなくてなる日なんて来ないと思っていた。


同じ駅、同じ電車、住むマンションも近い。


近いからこそ、いつでも会える…………。



「朝は一緒に行こう。」


「うん。」


「顔が見たくなったら会いにいくから。」


「うん。陽平、そんなに忙しい?」


「忙しくなりそう。一応、社長の息子だし、社員の目もあるから。」


「そっか。私も忙しくなるからお互い様だね。」


「会議では会えるし。」


「うん。」



私を抱き寄せる陽平の体温を感じていた。


まだまだ冬の寒さが続く。


その寒さが終わる頃には、陽平の仕事も一段落しているかもしれない。


3月生まれの私はもう少しで30を迎える。


そしたら直ぐに新入社員も入ってくる。


また年を重ねていくんだ。



「陽平、少し寝ようか。」


「ははっ、本当に眠り姫だね。」
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