眠り姫に恋したのは年下御曹司
忙しかった日々が徐々に落ち着いてきていた。


企画は固まり、実務を担当するメンバーに仕事を振り分ける。


自然と私の作業は軽くなっていく。



『今日はもう帰るね』


『莉乃、お疲れ様。俺はまだまだかな』


『頑張ってね』



陽平に帰るコールを送る。


当たり前になっていたメッセージのやり取りも陽平の忙しさに減ってはきていた。


だけど仕事が大変なのは知っていたから私も不安になんてならなかった。



「片桐さん、駅まで一緒に。」


「山中も帰るの?」


「ダメですか?俺も今日は帰ります。」


「じゃあ駅まで。」



山中と一緒に駅まで向かう。


隣を歩く山中もモテそうな感じだ。


背も高くて顔も整っている。


まあ恋愛対象ではないけど。



「そういえば、この前会ったバーを覚えてます?」


「うん。山中はあんな場所に行くんだね。」


「ははっ、俺、こう見えて坊ちゃんなんで。」



本当なのか冗談なのか分からない切り返しだ。
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