眠り姫に恋したのは年下御曹司
「片桐さんの彼氏を……俺は知ってます。」



思いもよらぬ言葉に山中を見つめた。


稀に見せる山中の真剣な表情が警笛を鳴らし始める。



「そう。」


「なぜか知りたくないですか?」


「…………バーで会うからじゃないの?」


「そう、あのバーで見かけるから。」



山中の言葉に胸が痛み始めた。


きっと山中は親切で教えてくれている。


でも私は知りたくない事だった。


山中に掴まれていた腕を振り払い、駅に向かって歩き始めた。


追い掛けるように隣を山中が同じように歩き始めた。



「忠告です。片桐さんは大事な人だから。」


「…………忠告?」


「あのバーは御曹司、医者、弁護士みたいな男が集まる場所です。」


「そう。」


「それを目当てに来る女達と合コンしたりもしてます。」


「合コン…………。」


「片桐さんは知ってますか?そうな男ばかりの合コンがあるんですよ。」
< 81 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop