眠り姫に恋したのは年下御曹司
山中の話もわかる。


居酒屋は居酒屋の醍醐味があるように、真逆の雰囲気を味わえるバーにも醍醐味はある。


真剣な表情の山中が私を心配してくれる気持ちは痛い程伝わってくる。


仕事でもこんな表情は中々見せない。



「今の双葉さんは知りません。だから過去の話として捉えてください。」


「うん、ありがとう。」


「片桐さん、結婚に急ぎすぎて失敗とかしないでください。」


「はっ?」


「ほら、よく実家の親に急かされるって。」



山中から視線を逸らして、駅までの道を再び歩き始めた。


一言余計な男だ。


別に急いではいない。


まあ…………あわよくばとは思うけど。



「片桐さん、今度俺と行きません?」


「何処に?」


「勿論、あのバーです。たまには俺と如何ですか?」


「彼女の許可を取ったらね。恨まれるのは嫌。」


「片桐さんなら大丈夫ですって。」



どういう意味だ。
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