眠り姫に恋したのは年下御曹司
手に持っていたコーヒーを両手で握る。


池田さんの言葉が胸に突き刺さる。



『放っておかれるのは愛を疑います』



今の私だ。


今の私は陽平を信じ切れてる?


忙しくて会いにも来ない。


以前の陽平からは考えられない。


陽平の愛を私は疑っている。


唇をぎゅっと噛み締めた。




「陽平、私を好き?」



誰もいない休憩室に小さな呟きが漏れた。



「陽平、私の誕生日だよ?会いにも来てくれない?」



泣きそうな心を唇を噛み締めて耐えた。


今は泣かない。


まだ陽平と別れた訳ではない。


陽平は私を好きでいてくれる。



「会いたいよ、陽平。」



陽平をこんなに好きになるなんて。


付き合ったのは陽平に迫られて折れたからだった。


でも今は好きでたまらない。


陽平が好きで好きでたまらない。


泣きそうな心を踏ん張らせる。



「よし!仕事しよ。」



気持ちを切り替えよう。


こんな私は私じゃない。
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