葵くん、そんなにドキドキさせないで。
「あ、田中さんだ〜」
「葵くんには内緒にしててね?」
すれ違いざまにそう言って走っていく2人組
だ、ダメだよ…!!!
「待って…!!」
バッと振り返った私は、ジャージを持っていた子の腕を掴んだ
だ、だって、葵くんは意地悪だし、腹黒いけど、優しい人だからっ
そんな人を悲しませるようなことはしたくないし、させたくない!
「そのジャージ、葵くんに返してください…」
小さくそう言うと、キッと睨まれるわけで…
「いいよね、田中さんは。葵くんのこと独り占めできるもんね。」
「でもうちらは葵くんの何でもないんだよ?」
「私たちが美味しい思いしちゃダメ?」