葵くん、そんなにドキドキさせないで。
ゔっ…
「で、でもっ、やっていいことと悪いことが…!」
「もうっ、うるさいなぁ!」
ドンっ、と強く押される
バランスを崩した私
思わずギュッと目をつぶると、ふわりと石けんみたいな良い匂いが香った
「何やってるの?」
受け止めてくれた葵くんを見上げると、呆れたようにため息をついてる
"田中さんってやっぱりバカだね"って、言われてる気がするのは…
う、うん、気のせいじゃないはず。
「あっ、葵くん…!!?」
「やばいよっ、逃げよ!!」
葵くんを見た瞬間、サーっと顔を青くしてパタパタと廊下を走っていく
残されたのは葵くんのジャージと、口をパクパクさせてる私と、
「ったく…」って呟いてる葵くんだけ。