葵くん、そんなにドキドキさせないで。
「そういうところが、良かったんだよ」
ポツリと小さく呟いた葵くんに「え」と目を丸くする
「田中さんのそういうところ、俺好き」
"好き"っていう言葉にボボボっと顔が赤くなる私
「あ、顔赤くなってるし」
「いっ、言わなくていいですから…!」
慌てて両手をブンブンと顔の前で振る
簡単にそういうこと言うから、照れるのもしょうがないんだよ…
「ほら、帰るよ」
「あっ、ちょっと待って…!」
先に行ってしまう葵くんの隣に小走りで駆け寄って、
そっとその横顔を見てみた
「(…。)」
"葵くんのこと守る"とか、生意気なことを言ってしまったけど、
「人の横顔盗み見て何企んでんの?金取るよ?」
葵くんは、嬉しそうだ。