葵くん、そんなにドキドキさせないで。
「じゃ、あっち行って練習しよ」
「あ、うん…!」
近くにいた同じチームの女の子に事情を話してから、ネットをくぐって大野くんのところへ。
「…田中さん」
「わっ、」
だけど、
葵くんの横を通り過ぎようとした時、思いっきり手首を引っ張られた
え、と思った時には、
「っ、」
葵くんは、私の指先にキスをしていて。
「頑張ってね?」
なんて言うし、ぶわぁぁっと、顔が赤くなるのもしょうがないじゃないか。
「…あとで覚悟しとけよ。」
耳元でそう囁かれて、
…い、色々な意味でドキドキした。