葵くん、そんなにドキドキさせないで。
***
「あの…葵くん」
「…。」
「葵くんってば…!」
帰り道
葵くんのことを何回も呼んでいるのに…無視されます。
「体育の時は、ごめんなさい…」
こうやって謝ってもチラッと私を横目で見るだけ。
うう、やっぱり機嫌直してくれないなぁ…
せっかく俺が教えてやるって言ったのに。
大野を選ぶとかどーいうことだよ。
「(…とか、思ってる。絶対思ってる!)」
でもしょうがないんだもん。
どうしてだか葵くんのことを意識しちゃうんだもん。
こんなの本人には言えないけど…!
駅までの道のり。
相変わらず葵くんは何も言ってくれない。