葵くん、そんなにドキドキさせないで。
え、えっと、それってつまりは……?
「自分のものに勝手に触られると腹立つ気持ち、分かる?」
「えっ?」
「田中さんは俺のものだろ。違う?」
わ、私はものじゃないよ……って、ちょっ、あ、葵くん…!!!
「ちっ、近いです…!」
まだ不機嫌な顔で、私のことを覗き込む
握られていた右手は、恋人繋ぎになってるし…
な、なんかもう、頭真っ白になってきたよ…っ!?
「…ねぇ、何で俺じゃなくて大野のこと選んだわけ?」
顔にかかっている髪を耳にかけて、私のほっぺたをそっと触る葵くん
な、何でって……
『華子は、アイツのことどう思ってるの?』
陽菜ちゃんにこんなことを聞かれて、
葵くんのことを変に意識してしまったからだ。