葵くん、そんなにドキドキさせないで。
「俺が嫌いなのは、」
自己中心的でワガママで、人の言うこと聞かないお前らみたいな奴。
「…まだ田中さんがケガしてないから今回は見逃すけど、」
「ひっ…」
「次ひどいことしたら、容赦なく殴るよ?」
…葵くんはにっこりと笑っているんだと思う
それから、誰もいなくなった路地裏で、はぁー、と長いため息をついた
「…バーカ。」
「ゔ」
ほら、と手を差し伸べてくれる
葵くんの力を借りて立ち上がった私
「…本当に何にもされてねぇの?」
ぎゅっと手を握ったままそう聞く葵くんにコクリと頷いた
葵くんが、来てくれた。
……葵くんと離れたくないと思った。