葵くん、そんなにドキドキさせないで。
……あ、そうだ!
「タオル、貸してくれてありがとう!洗って返すね」
「どういたしまして!貴重な三河の照れ顔が見られて良かったね」
ポンと背中を叩いてくるから、思わず私も小さく笑う。
「陽菜っ!ちょっとこっち来てー!」
同じクラスのソフト部の女の子に陽菜ちゃんが呼ばれたのはその時だ。
ちょっと行ってくる!そう行って立ち上がる。
『ダメ。今顔上げんな』
……葵くんの照れた顔、可愛かったな。
ふふっと笑う。
でも、良いことが起こるたびに欲張りになっていきそうでちょっと怖いや。
この関係を壊さないように。
私は、葵くんのことを想ってるだけでいい。