葵くん、そんなにドキドキさせないで。
よし、と頷いて空いたグラスを持って部屋の外へ。
ドリンクコーナーでジュースを注ぐ。
部屋の中は少し暑かったけど、ここは涼しくて気持ちいいな。
「……ひゃっ!?」
いきなり冷たいものがほっぺたに当たった。
バッと横を見ると、クスクス意地悪く笑う葵くんがいるわけで。
その手には空いたグラスが。
いきなり何するの……ううん、そんなことより。
へ、変な声、聞かれた……!
「本当、面白い反応するよね。ビックリしすぎ」
「だ、だって……!」
まさか葵くんが来るとは思わなかったし!
仕方なかったんだよ?
「……髪、結ばねぇの?」
「へ」
コトンとグラスをカウンターの上に置いて、するっと私の髪をすくう。