葵くん、そんなにドキドキさせないで。
その仕草がなんだか色っぽくて。
しかも突然のことだったから思わず目を丸くした。
顔を覗き込んでくるから距離も近いし……。
「あ、葵くんが、」
「俺が?」
葵くんは、私の好きな人だもん。
こんなことをされたらどうしたってドキドキしちゃうでしょう?
せっかく涼んでいたのに。
顔が熱くなっていくのがわかる。
「……葵くんが、結んでないほうが好きって……」
小さくそう言った。
恥ずかしくて顔をそらす。
「ふーん?」
長い髪を耳にかけて、フッと小さく笑った。
「……いい子じゃん」
「こ、子ども扱いやめてってば」
やっと私から離れた葵くんに、はぁーと息をついた。
本当にこの人といると心臓がもたないよ……。