葵くん、そんなにドキドキさせないで。
さっきは照れてたくせに。
あっという間にいつもの葵くんに戻ってしまった。
「あのさぁ、田中さん」
ピッとアイスティーのボタンを押しながら横目で私を見る。
そんな彼に首をかしげた。
どうしたのかな?
「一応聞くけど……俺のこと好きになってないよね」
その言葉に、一瞬息が止まる。
ど、どうして急に……?
ううん、そんなことはどうでもいい。
今は、どう返せばいいのか考えなきゃっ。
だってもし私の気持ちがバレたら、葵くんとの関係は終わっちゃうから。
ゴクリと唾を飲み込んだ。
「葵くんは、友達だよ……?」
ジッと私を見るその黒い瞳には、困った顔の私が映ってた。