葵くん、そんなにドキドキさせないで。

本当に、顔に出やすいよ、私っ。

バレないか心配だ。




「ふーん」


「……うん」




ドキドキ、と心臓が嫌な音を立てる。


本当は好きなんだけどな……。

自分の気持ちに嘘をつかなくちゃいけないのは、少し、寂しい。





「それならいーんだけど。

……好きになられても困るから」





そう呟いた言葉が、グサリと刺さる。


……うん、そうだよね。




「大丈夫だよっ。私が葵くんのことを好きになるなんて……生意気なことだもん」




あはは、と笑う。

どうか上手く笑えていますように。





「……じゃあ俺先戻るから」


「うん！」





葵くんの背中が見えなくなってから、きゅっと唇を結んだ。