葵くん、そんなにドキドキさせないで。

華子ちゃん、俺は優しい男じゃないよ?




-大野side-


***


「それならいーんだけど。

……好きになられても困るから」





三河がそう言ったのを聞いて、あーあって思った。





「大丈夫だよっ。私が葵くんのことを好きになるなんて……生意気なことだもん」





華子ちゃんのあの顔。

ちゃんと笑えてないの、自分でもわかってる?


本当に、バカだよね、あの子。





ドリンクコーナーから死角になっている角の階段。

そこから2人の様子を見て、呆れたようにため息をつく。





《ちょっとー、涼平?聞いてる?》


「あ、ごめんごめーん。聞いてるって」




スマホを耳に当て直す。


相手は3年の美人な先輩。

電話がかかってきたから、こうやって部屋から出て話してたんだけど。

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