葵くん、そんなにドキドキさせないで。


優しいよ、大野くんは。

そう言って、小さく微笑む。





「っ、」




……やっぱり華子ちゃんは、三河のことばっかり。





「……バカだなぁ、華子ちゃんは」





女の子は、普通に好き。

可愛いし、柔らかいし、単純だから。


甘い言葉でコロッと落ちてくれるし。




……でも、バカな女は、嫌い。





「っ、いた」


「え!?どうしたの?」





三河なんて、絶対やめたほうがいい。

叶うわけないって、ちゃんとわかってるんでしょ?


なのにどうして、それでも好きって思っちゃうかなぁ。





「や、なんか、目にゴミが入ったみたい」


「大丈夫?痛いよね……」





目元をおさえる俺を、心配そうに見つめる。


お人好しにもほどがあるって。





「……ごめん、目に何か入ってないか見てくれる?」


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