葵くん、そんなにドキドキさせないで。
□葵くんに合わせる顔がないや。
___ピピピッ。
スマホのアラームの音で、目が覚めた。
『……華子ちゃん、俺さぁ、優しい男じゃないよ?』
『……叶わない恋なんてやめれば?』
ベッドから起き上がると、昨日のことがよみがえった。
夢じゃない……。
制服に着替えながら、どうしよう、と呟く。
本当にどうしよう。
私、大野くんとき、キス……してしまった……。
寝たら全部夢だった、っていう落ちじゃなかった。
『陽菜ちゃん、ごめん、私先帰るっ』
『えっ、どうしたの?』
『……お腹、痛くて』
キスされたことで頭の中真っ白になって、
昨日は陽菜ちゃんに嘘をついてまで帰ってきちゃったよ。