葵くん、そんなにドキドキさせないで。
ど、どうしてこんな早い時間に……!
いつもはもう少し学校に来るの遅いのにっ。
「な、何でもないっ。ごめんなさい……」
ギュッとスクールバッグを握りしめる。
…….初めてのキスは、好きな人としたかったんだけどなぁ……。
こんなことを考えると、なぜだか泣きそうになった。
あぁ、もうっ。私って面倒くさい。
「えっと、じゃあ……」
「はぁ?何で先行こうとすんだよ」
「えっ」
葵くんの横を通り過ぎようとすると、パシッと腕を掴まれた。
「一緒に行けばいーじゃん」
グイッと私のことを引っ張りながら学校へと向かう。
嬉しい、んだけど、ね。
「置いてくなよ、俺のこと」
そんなこと言われたらドキドキしちゃうから。