葵くん、そんなにドキドキさせないで。
***
「はぁ……」
授業と授業の間の休み時間。
教科書をカバンの中にしまいながらため息をついた。
『華子、お腹痛いの大丈夫?』
陽菜ちゃんは、朝、座っていた私にすぐに声をかけてくれた。
『う、うんっ』
でも、やっぱり昨日のことは言えなかったし、また嘘をついてしまったし……。
……このままじゃ、ダメだよね。
チラッと隣の席を見る。
「そうだ、先輩今日空いてる?」
誰かに電話をしている大野くん。
いつも通りだ。
私にキスしたの、忘れてないよね?
ねぇ、どうしてあんなことしたの?
「俺暇なんだよね。先輩に会いたいし」
サラッと恥ずかしげもなくそんなことを言える大野くんは、
やっぱりチャラ男だ。