葵くん、そんなにドキドキさせないで。
ということは、私にキスしたのも特に意味はなかった……?
……いやいやっ、でも、人としてやっていいことと悪いことがある。
「そんなに俺のこと見つめてどうしたの?」
「えっ」
その声にハッとする。
大野くんは、いつの間にか頬杖をついて私のことを見ていた。
ニヤニヤしてる……本当に、いつも通り。
ぐるぐる考えたってわからないものはわからない。
だったらもう、直接聞くしかないよね?
「あの、大野くん」
「なに?」
ギュッと手のひらを握った。
「その、どうして昨日、私にあんなことしたの……?」
周りに聞かれないように小さな声でそう聞く。