葵くん、そんなにドキドキさせないで。
「別に?大した意味はないけど」
ニコッと笑う大野くん。
大した意味は、ない?
でも、だって、私は初めてのキスだったんだよ……!?
「そんなのっ、ひどい……」
「だから言ったじゃん。俺は優しくないよって」
何にも言えないでいる私に、彼はさらに続けた。
「華子ちゃんって無防備なんだよ。男にすぐ気許すのやめたら?」
「なっ、そんなこと……!」
「あるだろ」
チラッと葵くんを見る大野くん。
「三河に意地悪されても、ちょっと優しくされただけで好きになっちゃったじゃん」
バカだよねー。
って、小さく言う。
ガタッと、私は勢いよく立ち上がった。