葵くん、そんなにドキドキさせないで。
■俺は田中さんがムカつく。
-葵side-
***
……何やってんだよ、田中さん。
つまらない先生の話を聞きながら、トントンと指で机を叩く。
チラッと田中さんの席見ると、そこには誰もいなくて。
授業サボるとか、そんな度胸、田中さんにあったなんて知らなかったんだけど。
『な、何でもないっ。ごめんなさい……』
朝も、全然俺と目合わなかったし。
あ、思い出したらちょっと腹立ってきた。
たまに生意気になるよね、田中さんって。
昨日の打ち上げもいつの間にか帰ってたっけ。
おかげで俺は、女たちに囲まれることになったっていうこと、アイツ知らないんじゃねぇの?
「ねぇねぇ、昨日のこと知ってる?」
「え?なになに?」
「田中さんと涼平が、かなり近い距離で一緒にいたってこと」