葵くん、そんなにドキドキさせないで。
……ふーん。
斜め前の席でそんなことを話している奴から視線を移して、窓の外を見た。
田中さんと、大野がねぇ。
2人きりで何やってたんだろうな?
……イライラする。
「でも、田中さんって葵くんの彼女なんでしょ?」
「そうそう、だからきっと訳があると思うんだけど」
でも、田中さんは、3ヶ月限定の、俺の彼女で。
女避けのためだけの、道具。
たったそれだけの関係なのに、どうしてイライラする必要があるんだよ。
最近、自分らしくなくて、ほんと調子狂う。
大野と田中さんが2人でいるところを見ると、焦る。
『……好きになられても困るから』