葵くん、そんなにドキドキさせないで。
ごめんね、とか、絶対言わないよ?
-大野side-
***
『……俺だって自分が訳分かんねーよ』
三河しか見ていない華子ちゃんにムカついて。
俺のことも、見てほしくて。
俺に背中を向けてスマホを耳に当てている三河。
多分華子ちゃんに電話してるんだろうけど。
その時、ブブッとスマホが鳴った。
《涼平、まだぁ?》
受信したメッセージの文字に、はぁ、と心の中でため息をつく。
学校を出て、先輩のところへと向かった。
……何やってんだろ、俺。
俺のことも見てほしいからってキスするとか、まじ子供。ガキ。
『意味分かんないんだけど。何でキス?』
……俺は、バカじゃねぇから。
華子ちゃんにムカついている理由が、何なのか、分かってる。