葵くん、そんなにドキドキさせないで。
「それに、華子ちゃんと話せるチャンス逃すなんてもったいないじゃん?」
少し寂しそうに言うから、言葉に詰まる。
確かに大野くんとこうやって話すのはすごく久しぶり。
でも、私にキスをしてきた事実は変わらない。
しかも"大した理由はない"って、言われたし……。
「はい、これで全部」
「あ、ありがとう……」
……だけど。
「こんな面倒なこと引き受けるなんて、相変わらずお人好しだね」
一緒にプリントを拾ってくれたし、
「これどこまで運ぶの?」
「えっと、準備室……って!大野くんそこまでしなくてもいいのにっ」
ダンボールも持ってくれるし。
本人は、自分は優しくないって言うけど、でも。