葵くん、そんなにドキドキさせないで。
「いーよ、別に。華子ちゃんと一緒にいたいだけだから」
やっぱり、大野くんは、優しいよ。
なんて、こう思ってしまう私は、単純なのかな。
ギュッと手のひらを握りしめた。
「……三河となんかあった?」
「えっ?」
「目、ちょっと腫れてるし、三河と一緒に帰ってなかったから」
横目で私を見る大野くんに、また泣きそうになる。
「……葵くんの彼女のフリをするの、もう終わりになったの」
隣にいる大野くんが、ビックリしているのが分かった。
今日あったことを簡単に大野くんに言うと、「……そう」って呟くだけ。
それから、ちょうど着いた準備室の扉をあけて、ダンボールを置いた。