葵くん、そんなにドキドキさせないで。
***
「華子ちゃん、寄り道しないでそのまま帰ろっか」
「えっ?」
学校を出た駅までの道のり。
2人並んで歩いていた時にいきなりそう言われたから、ビックリした。
「で、でも……お気に入りのカフェに連れて行ってくれるんじゃ?」
寄り道していく?って、教室で誘ったのは私の方。
でも、『良いカフェがあるよ』って言ってくれたの、忘れちゃった?
私の言葉に困ったように笑う大野くん。
「そりゃ、俺としてはさぁ、華子ちゃんと放課後デート出来るのはめっちゃ嬉しいんだけど」
「デッ!?」
デート、はちょっと言い過ぎなような気がするよ……!
ピシッと固まってしまう私に、彼はクスクスと笑い声をたてた。