葵くん、そんなにドキドキさせないで。


今日の放課後、大野くんと話をしよう。



……はぁ、なんだか今から緊張しちゃうな。


チラッと隣を見る。




ほんのり焦げ茶色の髪の毛、右目の下にあるホクロ。


こうやって、目が合うとニコッと笑ってくれる。





「きりーつ、れい」





日直の号令に合わせて立ち上がって、ぺこりとお辞儀をした。



……大野くんは、こんな私のことが好きみたい。

その気持ちに応えることが出来ないのは、心苦しいや。





「258ページ開いてー」





チャラチャラしてるけど、

ピアスだって開いてるけど、


私に、いきなりキスをしてきたけど、


でも。





葵くんと同じで、


大野くんは優しかった。


< 283 / 351 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop