葵くん、そんなにドキドキさせないで。
今日の放課後、大野くんと話をしよう。
……はぁ、なんだか今から緊張しちゃうな。
チラッと隣を見る。
ほんのり焦げ茶色の髪の毛、右目の下にあるホクロ。
こうやって、目が合うとニコッと笑ってくれる。
「きりーつ、れい」
日直の号令に合わせて立ち上がって、ぺこりとお辞儀をした。
……大野くんは、こんな私のことが好きみたい。
その気持ちに応えることが出来ないのは、心苦しいや。
「258ページ開いてー」
チャラチャラしてるけど、
ピアスだって開いてるけど、
私に、いきなりキスをしてきたけど、
でも。
葵くんと同じで、
大野くんは優しかった。