葵くん、そんなにドキドキさせないで。
■意識しすぎだよ、田中さん。
朝早い学校は、けっこう好き。
あんまり人がいなくて、静かで、
何も考えずにぼーっと出来るから、好き。
ローファーから上ばきに履きかえて、ガラッと教室の扉を開ける
皆さん、おはようございます。
田中華子です。ハナコじゃないです。カコ、です。
普段は教室の隅っこにいるような地味子です。
だけど、大好きな陽菜ちゃんと一緒におしゃべりできる毎日が大好きです。
「…おっそいよ、田中さん」
「……。」
…大好き、でした。
「10分遅刻してんだけど」
「あの、メールでちょっと遅れるって伝えたけど…」
自分の席に座って、机に頬杖をついて、
扉の前でカチコチに固まっている私を軽く睨 んでいるのは、